写真を撮っていて、ふと思うことがあります。
「構図って、そんなに気にしなくてもいいんじゃないか?」
三分割だ、黄金比だって、よく言われるけれど、正直、美しいものは美しい。それだけじゃダメなんだろうか。
みんなが同じように、同じものを「美しい」って言っているのを見て、ちょっと気持ち悪さを感じたこともある。
それって結局、“美しさ”の最大公約数でしょ?つまり、一番無難な線。
そんなの、つまらなくない?
でも、だからといって「構図なんて全部無視すればいい」とは思わない。
私は構図をこう考えています。
構図は「思考を助ける道具」
構図は、ルールじゃない。
うまくいかない時、迷った時に、画面を整えてくれる“補助線”のようなものです。
三分割構図、S字、対角線──それらは「伝えるための整理術」。
頭がごちゃごちゃしてる時に地図を広げるように、構図を思い出せば、思考が整うことがある。
構図は、使いたい時に使えばいいツールです。
美しさの「型」ではなく、「ヒント」
黄金比やフィボナッチ数列。確かに、美しさを支えるひとつの“型”かもしれない。
だけど、そこに当てはまらない美しさも、それ以上に無限にあります。
構図って、結局は「過去の誰かが感じた美」をあとから言語化したもの。
正解じゃない。でも、答えに近づくヒントにはなります。
「きっちり」よりも「しっくり」
私はリュウミンという書体が好きで、昔はよく真似して手書きしていました。
漢字って、四角の中に均等に線を入れれば整うように見えるけど、実はそうじゃないんですよね。
左右の空き、線の太さや長さを微妙にずらさないと、自然に見えない。
ガチガチに揃えるよりも、「なんかちょっと違うな」という感覚を信じて手を入れる。
すると結果として、より美しく見える。
これは写真にも通じる気がします。
構図も同じ。
被写体の間隔、余白、色や形のバランス…
そういったものは、理屈だけでは決められない。
「きっちり」よりも「しっくり」。
そんな美しさを信じたい。
構図を知ると「破り方」もわかる
型を知っているからこそ、型を崩す意味が出てくる。
たとえば、よく「初心者っぽい」と言われる日の丸構図も、
あえてやると、強い印象を残せる写真になることもある。
構図は「守る」ためじゃなく、「自由に壊す」ためにもある。
そのためには、まず知っておく価値がある。
最終的には「あなたの目」が正解
どんな構図が正しいかなんて、誰にも決められない。
最も大事なのは、あなたが「これが美しい」と感じる感覚。
あなたが「これを撮りたい」と感じた気持ちこそが、写真の核。
構図はその感覚を形にするための地図にすぎません。
だからこそ、学んでも縛られないでください。
構図は知っておいて損はないけれど、最後に選ぶのはあなたの目です。