僕が学生だった頃、今ほど商品が多かったわけでもなく、「おしゃれなやつは大体無印」といった雰囲気があった。
「知る人ぞ知る」と言うには言いすぎだけど、まだまだ“通な人の選択肢”といった時代。洗練されたデザイン、価格の手頃さ、そして余計なものがない雰囲気が印象的だった。
無印良品のルーツと思想
もともと無印良品は西友のプライベートブランドとして生まれたらしい。
その立ち上げに深く関わったのが、グラフィックデザイナーの田中一光さん。単なるアートディレクターというだけでなく、ブランドそのものの発案者のひとりとされ、無印良品の思想を築いた人物だ。
当時デザイン学生だった僕にとって、教科書でしか見たことのなかった「大先生」が、そんな大きなブランドに関わっていたという事実は、心のどこかを震わせた。いや、震えていたに違いない。
原研哉さんとウユニ塩湖のポスター
その無印の思想を引き継いだのが、原研哉さん。
2003年、ウユニ塩湖を使ったポスターが発表された。
一面に広がる空と大地のシンメトリー。余計な装飾のない構成。シンプルで、強く、印象的だった。
あのポスターを見たときも、たぶん僕はまた震えていたと思う。それ以来、僕はずっと無印良品のファンだ。
初期衝動としての無印
いま振り返ってみると、あのポスターや無印の世界観は、自分にとっての創作の初期衝動のひとつだったのだと思う。
そして最近、そのポスターの写真を撮ったのが藤井保さんだと知った。
まだ知らないことがたくさんある。もっと知りたい。もっと見てみたい。